「うん、僕は自然の中にいる時は悲しくないのさ。ここではすべてがあまりにも本ものだから、悲しく感じなくてすむのさ。都会だと人がみんな間違ったことばかりに関心があって、僕は悲しくなるんだ。この自然に触れている時、人は互いに触れ合っているんだよ」

ああ、なんて美しい空なんだろう。そして、美はただそのためだけに存在していると思った時、空はもっともっと美しく感じられた。美は存在の理由もいらなければ、説明する必要もない。ただそのものであるだけだ。そして他の何ものとも関係はない。分け合わなくともみんなが全部を楽しむことができる。そして減らない。美は美である。そして食べものや水と同じように必要不可欠なものである。

人生と自分自身を今までと違った目で見始めている自分を感じていた。まるで元の自分　−　罪の意識、嫉妬、物質崇拝、恋人とのゴタゴタ、疑惑などが、人間の証であると信じていた自分　−　を放棄してしまったような気がした。私はこれまで、このような感情を受け容れ､仕方のないものと考えていた。今や､この諦めを捨て､今までとは全く違った人生哲学を思い切って採り入れる必要があった。

私がその存在を信じれば、それは存在する、ということなのだ。ということは、私が認めれば、信じれば、すべてのことが私には事実となるのだ。たぶん私が山で学んだことは、このことなのだ。限界を置かずに、ものを考えるということ。何事もあり得る、人は何でもできる､どこにでも飛んでいけるし、何にでもなれる。一人の人間の魂は、宇宙のすべてなのだ。

私の魂は、私の体がどうなろうとも、魂自体は何ともないことを知っていた。また己れが宇宙のすべてのものの一部であると、信じていた。つまり己がこの嵐の一部であることをしっていたのだ。私は魂　−　潜在意識、宇宙のエネルギーの個別化したもの　−　は永遠であり、またこの激しい嵐が私達が人生と呼ぶ冒険の一部分なのだ、ということを理解し始めていた。

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